文献詳細
臨床報告
角膜移植術を施行したHurler-Scheie複合型の組織学的検討
著者: 平形明人12 坪田一男12 張裕子12 石井康雄3 澤充4
所属機関: 1慶應義塾大学眼科 2国立栃木病院眼科 3新川橋病院眼科 4東京大学眼科
ページ範囲:P.1031 - P.1034
文献概要
症例は9歳女児で,両眼角膜はびまん性に混濁し,4年間の経過観察中に視力は手動弁にまで低下した。左眼角膜移植の結果,術後1年経過した現在,移植片は透明で経過良好である。
摘出角膜の組織学的検討で,角膜上皮,実質細胞,内皮細胞の細胞質に細線維顆粒状物質,膜様物質を含む多数の空胞が観察され,実質層間,デスメ膜には異常な長周期線維が認められた。またボーマン膜の破壊,実質コラーゲンの走行異常も観察された。以上より,Hurler-Scheie複合型では,ムコ多糖体代謝異常による影響が,細胞成分のみならずコラーゲン形成にまで及んでいることが考えられた。
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