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臨床報告
軽症糖尿病患者の血液房水柵障害
著者: 湯口琢磨1
所属機関: 1聖隷浜松病院眼科
ページ範囲:P.1041 - P.1045
文献購入ページに移動螢光虹彩撮影では,瞳孔縁からの螢光漏出pupillary leakageの頻度が正常者より高く,60歳以下の年齢層で有意差があり,網膜症のある群ではない群よりこれが顕著であった。高齢者では漏出頻度が増加し,瞳孔縁部以外からの漏出extrapupillary leakageが出現した。前眼部螢光測定では,網膜症の発現前の時期から前房内フルオレセイン濃度/血漿タンパク非結合フルオレセイン濃度(Fa/Fp値)が高値であり,高齢者ではこれが有意であった。網膜症のある群,HbA1c値が7%以上の群,インスリン治療群では,これがさらに高値を示した。
以上より,糖尿病眼では,網膜症が出現する前から血液房水柵の障害があること,加齢,網膜症の出現,HbA1c値の増加などが,障害増悪の因子であると結論される。
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