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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻6号

1989年06月発行

文献概要

臨床報告

軽症糖尿病患者の血液房水柵障害

著者: 湯口琢磨1

所属機関: 1聖隷浜松病院眼科

ページ範囲:P.1041 - P.1045

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 糖尿病眼の血液房水柵の障害を評価するため,網膜症のない糖尿病患者192例376眼,福田分類AIの網膜症がある114例217眼に対し,螢光虹彩撮影と前眼部螢光測定を行った。
 螢光虹彩撮影では,瞳孔縁からの螢光漏出pupillary leakageの頻度が正常者より高く,60歳以下の年齢層で有意差があり,網膜症のある群ではない群よりこれが顕著であった。高齢者では漏出頻度が増加し,瞳孔縁部以外からの漏出extrapupillary leakageが出現した。前眼部螢光測定では,網膜症の発現前の時期から前房内フルオレセイン濃度/血漿タンパク非結合フルオレセイン濃度(Fa/Fp値)が高値であり,高齢者ではこれが有意であった。網膜症のある群,HbA1c値が7%以上の群,インスリン治療群では,これがさらに高値を示した。
 以上より,糖尿病眼では,網膜症が出現する前から血液房水柵の障害があること,加齢,網膜症の出現,HbA1c値の増加などが,障害増悪の因子であると結論される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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