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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻7号

1989年07月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・33

シュレム管

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学

ページ範囲:P.1074 - P.1075

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 前房水の大部分は線維柱帯(小柱網)のぶどう膜網,角強膜網,内皮網を経てシュレム管へ流出する。シュレム管は角膜縁を輪状に取り巻いて存在する全長約35mmの扁平な管である。幅は300〜400μm,高さは約20μmである。シュレム管壁は組織学的に,シュレム管壁内皮細胞,基底板,シュレム管周囲結合組織pericanalicular connec-tive tissueの3層に分けられる。いずれもシュレム管の内壁(前房側)と外壁(強膜側)でその組織構造は著しく異なる。
 シュレム管内壁内皮細胞のもっとも顕著な特徴は巨大空胞の形成である(図1,2)。巨大空胞は前房側とシュレム管腔内の圧力差によって内皮細胞の基底板欠損部あるいは内皮網との接着が弱い部位で,内皮細胞の胞体がシュレム管腔側へ膨隆したものである。巨大空胞の内圧がある一定の高さに達するとシュレム管側へ膨隆した内皮細胞の胞体に細胞を貫通する細孔が形成され,そこから巨大空胞内の房水がシュレム管腔へ流出する。その結果,巨大空胞の圧力が低下して空胞は虚脱に陥って消失する。いわば,巨大空胞は前房側とシュレム管腔との間の弁のような働きをするものと考えられている。シュレム管内壁と外壁の移行部では,内皮細胞に巨大空胞の形成がみられることもあるが,外壁の内皮細胞にはほとんどみられない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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