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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻7号

1989年07月発行

文献概要

臨床報告

眼内レンズ挿入術後に毛様体—水晶体嚢ブロックによると思われる悪性緑内障が発生した1例

著者: 菅澤啓二1 藤田久仁彦1 武市吉人1 山岸和矢1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1189 - P.1192

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 周辺虹彩切除術を行った後房レンズ挿入眼の術後,浅前房と高眼圧が発生した症例を経験し,その治療に成功した。
 症例は54歳の男性で,左眼老人性白内障に対し水晶体嚢外摘出術と後房レンズ挿人術を行い,同時に周辺虹彩切除術を行っていた。手術後1日に浅前房を認め,手術後10日に眼圧上昇,pupil captureの状態となった。隅角には全周に癒着を認めたので,続発性閉塞隅角緑内障と考え,手術後13日に後房レンズ整復と隅角癒首解離術を行った。再手術翌日に再び浅前房と眼圧上昇を来たした。再手術後3日に周辺虹彩切除部からYAGレーザー照射により後嚢及前硝子体膜切開術を行った。数分後に深い前房となり,再手術後7日には正常眼圧を得た。その後は順調な経過をたどった。
 この症例は嚢外摘出術,後房レンズ挿入後に発生した毛様体—水晶体嚢ブロックによる悪性緑内障が発生したものと推察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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