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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻8号

1989年08月発行

文献概要

臨床報告

急性脈絡膜循環障害に点状螢光漏出と脈絡膜隆起をきたした症例

著者: 戸塚秀子12 畠山正1

所属機関: 1畠山眼科医院 2信州大学医学部眼科

ページ範囲:P.1289 - P.1292

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 脈絡膜虚血部に螢光漏出点を生じ,さらに脈絡膜隆起を伴った三角症候群の新鮮例を報告した。症例は71歳男性で,右眼の白内障手術後,経過は良好であったが,2週目に変視症と軽度の視力低下をきたした。右眼底の黄斑部から上耳側にかけ限局的な脈絡膜隆起と漿液性網膜剥離がみられ,螢光眼底で島状の脈絡膜充盈遅延域とその後極側に色素漏出点を認めた。これらの変化は徐々に改善され,経過とともに脈絡膜虚血域の中心部に帯状の萎縮巣が形成された。螢光上中心性脈絡膜症にしばしば観察される芯を持つ過螢光巣を認めた。本症例の発症機序を以下のように考えた。強度の脈絡膜虚血により,網膜色素上皮は萎縮性瘢痕を生じ,軽度の虚血では関門機能が障害された。また,渦静脈の逆流による脈絡膜の鬱血腫脹,上脈絡膜腔への漏出液貯溜により,脈絡膜隆起を生じたものであろう。本症例により,中心性脈絡膜症の原因として,脈絡膜循環障害の関与が示唆される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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