文献詳細
文献概要
連載 眼の組織・病理アトラス・35
虹彩の血管
著者: 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学
ページ範囲:P.1322 - P.1323
文献購入ページに移動 虹彩は大虹彩動脈輪major arterial circle of irisから血液の供給をうけている。大虹彩動脈輪は毛様体の前端部の前房隅角付近に輪状に存在し(図1),これから分枝した虹彩動脈が虹彩実質の前層を放射状に瞳孔縁にむかって分布する。捲縮輪で小虹彩動脈輪minor arterial circle of irisを形成し,そこから瞳孔縁までは毛細血管になる。毛細血管は瞳孔括約筋の前面および後面に分布し,瞳孔括約筋の後方の細静脈に注ぐ。静脈血は渦静脈から眼外に流出する。
虹彩動脈の形態学的な特徴は,管腔が毛細血管ように狭く,しかも膠原線維の厚い外膜をもっていることである(図2)。また,大虹彩動脈輪も虹彩実質内の細動脈も弾性板を欠いている。血管壁には少数の平滑筋細胞があり,その周囲を線維芽細胞とメラニン細胞が輪状に取り囲んでいる。毛細血管の内皮細胞は窓構造をもたず,内皮細胞間には閉鎖結合tight junctionが存在する閉鎖型毛細血管で,血液内皮関門blood endothelial bar-rierを形成している。しかし,ヒスタミン投与や前房穿刺を行うと,この関門が容易に破綻する。
虹彩動脈の形態学的な特徴は,管腔が毛細血管ように狭く,しかも膠原線維の厚い外膜をもっていることである(図2)。また,大虹彩動脈輪も虹彩実質内の細動脈も弾性板を欠いている。血管壁には少数の平滑筋細胞があり,その周囲を線維芽細胞とメラニン細胞が輪状に取り囲んでいる。毛細血管の内皮細胞は窓構造をもたず,内皮細胞間には閉鎖結合tight junctionが存在する閉鎖型毛細血管で,血液内皮関門blood endothelial bar-rierを形成している。しかし,ヒスタミン投与や前房穿刺を行うと,この関門が容易に破綻する。
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