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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻9号

1989年09月発行

文献概要

臨床報告

海綿静脈洞硬膜動静脈奇形の経静脈カテーテル塞栓術

著者: 鈴木祐子1 吉田晶子1 岡部仁1 桑島治三郎2 高橋明3 吉本高志4

所属機関: 1東北大学医学部眼科 2広南病院眼科 3広南病院脳外科 4東北大学医学部脳研脳外科

ページ範囲:P.1349 - P.1352

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 海綿静脈洞硬膜動静脈奇形DAVM 6症例に対して,上眼静脈経由で複数の細い銅線を病変部血管内に留置する経静脈カテーテル塞栓術を実施し,全例に眼所見の著明な改善が得られた。
 術前に眼症状として,6例に球結膜血管怒脹,眼球突出,眼圧上昇,4例に外眼筋麻痺,2例に眼痛,耳鳴,1例に視力障害と網膜症があった。術直後からほとんどの眼所見が著明に改善した。2例で外眼筋麻痺がわずかに残ったが,複視は消失した。1例で海綿静脈洞症候群が一過性に生じた。他の合併症はなかった。
 本法は留置した銅線による血栓形成効果electrothrombosisを通じて,動静脈奇形部を閉塞することを意図している。従来の観血的治療法より手技が容易であり,流入血管の数や種類にかかわらず実施することが可能である。予期しない動脈閉塞の危険性が小さいこと,繰返して実施できること,他の方法との併用が可能であるなどの利点がある。本法は本症に対してまず試みられてよい秀れた方法と評価された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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