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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻9号

1989年09月発行

文献概要

臨床報告

乳頭領域の陥凹を伴わない朝顔症候群類似の乳頭部先天異常

著者: 東範行1 植村恭夫1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1377 - P.1384

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 朝顔症候群に類似する乳頭部先天異常で,検眼鏡にも超音波検査によっても乳頭領域に陥凹が認められない症例4例4眼の臨床的検討を行った。これらは陥凹を伴わない以外は眼底所見,蛍光眼底所見,電気生理学的所見も含めて朝顔症候群とは明らかな差は見られなかった。このうち1例は両眼性の乳頭形成異常であり,1眼は陥凹を伴わなかったが,他眼には陥凹が認められ朝顔症候群の所見を呈していた。このような先天異常は従来乳頭部第一次硝子体過形成遺残とも呼ばれていたが,今回の所見からは本質的に朝顔症候群と同一の疾患であると思われた。
 これらは全例に乳頭上の白色組織が認められ,また乳頭耳側縁のmacular yellow pigmentや放射状の網膜襞など,乳頭周囲の網膜が乳頭部にむかって牽引されていると思われる所見が観察された。これは朝顔症候群にも認められる所見であるが,今回のような乳頭領域に陥凹のない症例でも起こり得ることが判明した。したがってこれらの網膜の牽引の発生機転としては,陥凹が原因であるとするよりは,むしろ乳頭上に見られる白色増殖組織の関与が強いことが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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