臨床報告
低眼圧緑内障と原発開放隅角緑内障視神経乳頭縁面積の相違について
著者:
山上淳吉12
白土城照2
新家真2
山本哲也3
所属機関:
1東京都老人医療センター
2東京大学
3山梨医科大学
ページ範囲:P.1391 - P.1394
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低眼圧緑内障(LTG)と原発開放隅角緑内障(POAG)の視神経乳頭障害の相違を知る目的で,視野障害が上もしくは下半分に限局しているLTG15例15眼,POAG13例13眼を選択し,視野全体および視野障害側,非障害側について,視野障害と乳頭縁面積との関係を比較検討した。視野障害の評価はハンフリー視野計30-2プログラムにより得られるmean deviationおよびtotal deviationによって行い,乳頭縁面積については乳頭ならびに陥凹の外縁を立体観察下で重量均質な用紙にトレースし,それぞれの断片の重量を測定することによって乳頭縁面積と乳頭面積の比(RD比)を求め,乳頭縁面積の代用とした。両群間の視野障害の程度に差は認められなかったが,RD比は全体としてPOAGと比較してLTGが小さい傾向にあり,特に非障害側においては有意の差が認められた(t-test;P<0.05)。この結果よりLTGではPOAGと比較して元来乳頭縁面積が小さいという可能性を示唆すると同時に,LTGでは視野障害発現に先立って陥凹が拡大する何らかの病態が視神経乳頭に存在している可能性を示唆しているものと考えられた。