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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻1号

1990年01月発行

文献概要

臨床報告

偽水晶体性水疱性角膜症の発生について

著者: 大黒伸行1 松田司1 木下茂1 眞鍋禮三1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科

ページ範囲:P.37 - P.40

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 偽水晶体性水疱性角膜症(PBK)と診断された21例21眼についてレトロスペクティブに検討した。手術からPBK発生までの期間は,虹彩固定レンズ群8眼では,0.5年〜11.0年(平均5.0年),前房レンズ群6眼では,術直後〜4.0年(平均2.0年)であり,一方,後房レンズ群7眼では大部分(6眼)において術直後にPBKの発生がみられ(平均0.2年),前2群に比較して有意に短かった。術後合併症は,虹彩固定レンズ群では8眼中4眼(50%)に,前房レンズ群では6眼中4眼(67%)に,挿入した眼内レンズの脱臼や接触による機械的な角膜内皮障害がみられた。一方,後房レンズ群では,ぶどう膜炎が1眼にみられたのみであった。いずれの群においても,他眼の角膜内皮には,著明な細胞数の減少,滴状角膜,あるいはFuchsの変性症などの異常所見はみられなかった。
 以上の結果より,後房レンズ挿入後のPBKの発生機序は,虹彩固定レンズや前房レンズ挿入後のPBKの発生機序とは根本的に異なり,術中の何等かの因子に求められるのではないかと推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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