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臨床報告
閉塞隅角緑内障を伴った後部強膜炎の1例
著者: 永本晶子1 永本敏之1 菊地糺2 木村肇二郎3
所属機関: 1国立霞ケ浦病院眼科 2菊地眼科医院 3慶応義塾大学病院眼科
ページ範囲:P.81 - P.85
文献購入ページに移動閉塞隅角の発生機序としては,1) ciliochor-oidal effusion,2)炎症の毛様体への波及に伴う浮腫によるiris lens diaphragmの前方移動による隅角閉塞が考えられた。諸症状の改善とともに近視の程度が減弱し,この近視はiris lens dia-phragmの前方移動によるものと,毛様体の炎症に伴う毛様体筋の痙攣によるものと思われた。後部強膜炎に閉塞隅角緑内障を伴うことは稀であるが,本症のように,その炎症の場所が前方である場合や程度の強い場合には,閉塞隅角緑内障を呈することがある。
片眼性の閉塞隅角緑内障で疼痛・眼球突出・眼球運動障害・結膜充血などを伴い,その経過中に近視の程度が変化する場合には,後部強膜炎の存在を念頭におく必要がある。
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