文献詳細
臨床報告
文献概要
両眼にアトピー性白内障と網膜剥離とを合併する18歳男性の1例を経験した。初診時は両眼とも成熟白内障のため眼底は透見不能であった。超音波検査では右眼の網膜剥離を予想できたが,左眼に異常はなかった。Lensectomy直後の眼底検査で,左眼にも網膜剥離が発見された。右眼は乳頭を観察し得ないPVR-D3の状態で,鋸状縁断裂を認めた。左眼は黄斑部を含む下方半周の扁平網膜剥離であり周辺網膜に小裂孔を認めた。さらに,毛様体扁平部の透明な膜様物が周辺網膜を牽引する所見と,毛様体突起部の萎縮所見が両眼に観察された。両眼とも白内障手術直後に硝子体手術とレーザー光凝固を実施した。以後1年半網膜剥離の再発はなく,視力良好である。
アトピー性白内障では網膜剥離の合併を念頭におき,白内障術直後の眼底検査を行うべきである。本症例では網膜剥離の早期発見と適切な術式の選択が,良好な予後を得た理由と思われた。透明な膜様物はアトピー性網膜剥離の発症に重要な役割を演じていると思われた。
アトピー性白内障では網膜剥離の合併を念頭におき,白内障術直後の眼底検査を行うべきである。本症例では網膜剥離の早期発見と適切な術式の選択が,良好な予後を得た理由と思われた。透明な膜様物はアトピー性網膜剥離の発症に重要な役割を演じていると思われた。
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