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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻13号

1990年12月発行

臨床報告

白内障手術における術前倒乱視の転帰

著者: 鈴木亮1 田中一成1 栗本晋二1 藤原紀男2

所属機関: 1山口大学 2藤原眼科

ページ範囲:P.1987 - P.1990

文献概要

 超音波乳化吸引術(KPE)が嚢外摘出術(ECCE)より術後乱視度が小さいことは経験的によく知られている。また強角膜縫合糸,縫合法,結節の回数術者の技術などの因子が術後の乱視度に及ぼす効果は大きい。その乱視度は術前の乱視度や患者の年齢で変化することが考えられるが,KPEとECCEにっきそれを詳細に検討した論文は見あたらない。一人の術者が同じ縫合糸(10/0ポリエステル,マーシリン),縫合法,手術法を用いて行った408眼の手術のうち,術前倒乱視167眼の角膜乱視を6か月にわたって調べた。
 KPE, ECCEにかぎらず,70歳以下の術後角膜乱視は80歳以上の患者より強主径線が術直後はよりsteep化するが早く改善した。高齢者(>80歳)では,強主径線の改善効果が70歳以下の者より遅延し,6か月後の乱視度は70歳以下より大きかった。ECCEでは術前1.5 D以下の倒乱視と高年齢者(>80歳)において術前倒乱視の度数が高く,“危険因子”として考えられた。このことを倍角座標のみでなく,あらたにベクトルの動きで座標平面上で示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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