icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻3号

1990年03月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(1)1989年10月 名古屋 学術展示

角膜ヘルペスと誤診されたアカントアメーバ角膜炎の2例

著者: 塩田洋1 内藤毅1 小西裕美子1 谷英紀1 大谷知子1 三村康男1 伊藤義博2 下村嘉一3

所属機関: 1徳島大学医学部眼科 2徳島大学寄生虫学教室 3大阪労災病院眼科

ページ範囲:P.302 - P.303

文献購入ページに移動
 緒言 アカントアメーバ角膜炎の典型例を1例経験しその臨床像を把握したところ,5年前に経験した角膜潰瘍も本疾患と考えられた。両例とも角膜ヘルペスと誤診されていた。これら2症例を呈示し,アカントアメーバ角膜炎の臨床的特徴,診断法を述べると共に,難治性の角膜潰瘍や角膜ヘルペスと思っていた中にも,本疾患であることがあり注意を喚起したい。
 症例1 患者は38歳の女性で,1988年7月21日左眼痛と視力低下を訴えて来院した。10年間ソフトコンタクトレンズ(SCL)を装用していた。現病歴として,同年6月30日から左眼痛のため近医を受診し,角膜ヘルペスと診断され治療していたが良くならず,7月21日当科に紹介された。初診時右視力=(1.2×SCL),左視力=0.1(n.c.)であった。右限は異常なかった。左角膜は,実質に軽い浮腫・混濁があり,知覚は低下していた。実質型角膜ヘルペスと診断し,アトロピン点眼,ベタメサゾン点眼およびアシクロビル眼軟膏点入による治療を始めた。一時軽快していたが,8月22日輪状潰瘍1)が現れたのでベタメサゾンの点眼回数を減らし,オフロキサシン眼軟膏を追加した。その結果潰瘍はほぼ消失したが,浮腫が強くなり円板状角膜炎に移行したので,再びベタメサゾン点眼の回数を上げ,アシクロビル750mg/日の点滴静注を7日間行った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?