特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(1)1989年10月 名古屋
学術展示
Retinal Densitometerの試作
著者:
齋藤昭1
矢ヶ崎克哉1
三宅養三1
市川宏
所属機関:
1名古屋大学医学部眼科
ページ範囲:P.332 - P.333
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緒言 Retinal densitometryはRushton1)らにより開発された方法で,視細胞外節内の色素の退色後の再生過程を測定する検査法である。光が網膜に達すると視細胞中の色素は光量子を吸収する。そして他の光量子を更に吸収することが不可能な状態となる。この様な状態を色素がbleachされた状態とよぶ。多くの色素がbleachされている状態では多くの反射光が眼底から返ってくることになる。従って反射光の時間的変化を測定することによって色素の濃度の変化がわかる。この手法より電気生理学的手法や心理物理学的手法とは全く異なった視細胞の動態を明らかにできるが,装置の複雑さなどからいくつかの例を除いて臨床応用にはほとんどいたっていなかった2,3)。今回我々は比較的簡便にretinal densitometryが行える装置を試作しcone densitometryを行い,満足できる結果を得たので報告する。
方法 装置は500ワットキセノン光を光源とし,退色光(光路1)測定光(光路2)参照光(光路3)を各々別々に得た(図1)。これらの光はoptic fiberを経て眼底カメラに導かれ眼底に投影される。5分間の退色の後,測定光,参照光が経時的に5分間提示される。退色光,測定光,参照光の網膜における照射野の大きさはそれぞれ3.5度と1度である。