文献詳細
文献概要
臨床報告
片眼前部虚血性視神経症と同時発症した成人糖尿病患者の乳頭腫脹
著者: 山崎啓祐1 佐堀彰彦1 宮澤裕之1 井上正則1 立花晴子2 文順永2
所属機関: 1神戸大学医学部眼科 2加古川市民病院眼科
ページ範囲:P.367 - P.370
文献購入ページに移動症例は50歳の男性で,急激な右眼の視力低下を来し,AIONと診断された。同時に左眼にも乳頭腫脹が発症したが視機能異常は認められなかった。右眼は典型的な蒼白乳頭を呈していたが,左眼乳頭は発赤腫脹し,乳頭縁に線状出血,綿花様白斑を認めた。螢光眼底造影においては,両眼とも糖尿病性網膜症をきたしてなかったが,右眼乳頭には充盈欠損を認めたのに対し,左眼は乳頭上の拡張した血管からの漏出と乳頭及び周囲組織の時間の経過とともに増強する過螢光を認めた。
右眼の乳頭は萎縮に陥ったが,左眼の乳頭腫脹は約2か月後より消退傾向がみられ,約4か月後には乳頭の軽度の充血を認めるのみとなった。
本症例の左眼は,いわゆる diabetic papil-lopathyに相当すると考えられ,その原因として,乳頭表層細小血管の循環障害が推測されな。
掲載誌情報