文献詳細
特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(2)1989年10月 名古屋
学会原著
文献概要
20年前に外傷性水晶体の硝子体内完全脱臼の既往をもつ71歳男性が右眼痛,結膜充血を訴え著明な虹彩毛様体炎,前房内の水晶体片,眼圧上昇がみられた。水晶体過敏性眼内炎,続発性緑内障と診断し,硝子体手術を施行した。術中,網膜血管上に黄白色沈着物の特異な所見が観察されたが術後7日で消失した。また,硝子体灌流液を鏡検したところ単球系の細胞がみられた。術後,眼内炎症,眼圧上昇は消退し,視力は0.4と回復した。
硝子体内に完全脱臼した水晶体は合併症が起こらない限り摘出しない方がよいとされているが,重篤な合併症を生じた例の視機能の予後は不良であることが多い。硝子体手術の進歩した現在,合併症発症前に摘出することも考慮すべきであろうと思われる。
硝子体内に完全脱臼した水晶体は合併症が起こらない限り摘出しない方がよいとされているが,重篤な合併症を生じた例の視機能の予後は不良であることが多い。硝子体手術の進歩した現在,合併症発症前に摘出することも考慮すべきであろうと思われる。
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