文献詳細
特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(2)1989年10月 名古屋
学会原著
文献概要
高齢化が進み,開放隅角緑内障が増加している。さらにまた,この緑内障患者は白内障も併発するようになる。この将来の白内障手術を考えにいれて緑内障手術を施行することは,高齢者の患者や眼科医にとって重要である。この報告では開放隅角緑内障患者の患者45例について,3つのグループA,B,C群に分けた。A群は古典的Scheieの濾過手術を施行された患者である。眼圧のコントロールは比較的良いが,強い虹彩ダメージと虹彩後癒着により白内障手術は難しくなった。B群はトラベクレクトミー施行の患者である。虹彩のダメージはA群よりも少ないが,多くの症例で白内障術後に濾過胞が平坦化して眼圧は上昇した。C群はトラベクロトミー施行の患者である。白内障手術はA群B群に比べはるかに容易であった。白内障併用術後の眼圧コントロールも良好であった。また緑内障と白内障(および眼内レンズ)同時手術への筆者の経験を述べた。2つの強膜創から,トラベクロトミーと白内障手術を独立させて施行することで合併症は減った。さらに白内障手術としてCircular Capsulorhexis,In-the-bag Phaco,後房レンズ移植術を採用することで最も良い術後視力と眼圧コントロールを得られた。
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