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特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(2)1989年10月 名古屋 学会原著
白内障眼における水晶体上皮細胞の変化
著者: 金谷いく子1 星野峰子1 生田恵子1 藤澤久美子2 溝上國義2
所属機関: 1兵庫県立成人病センター 2神戸大学医学部眼科
ページ範囲:P.451 - P.454
文献購入ページに移動対象は,50〜89歳の正常眼83眼,糖尿病眼18眼,緑内障発作既往眼8眼である。正常眼については,核,皮質,熟性,過熟白内障の4型に分類した。水晶体嚢外摘出時,得られた前嚢を直ちにホルマリン固定し,トルイジンブルー染色した後,中央部の水晶体上皮の平均細胞面積,密度をサンコンタクト社製角膜内皮自動計測システムにて計測した。
その結果,平均細胞密度は50〜65,66〜75,76〜89歳の年代間で有意に減少し,加齢との関連が明らかであった。熟性白内障では,核,皮質白内障と比較し,有意に平均細胞面積の増大,密度の低下が見られた。皮質の障害が進行すると,平均細胞面積の増大が起こることが示唆された。緑内障眼では328.6μm2,3187.4cells/mm2,正常眼259.7μm2,3932.3cells/mm2と比較して,有意に平均細胞面積の増大,密度の低下を認め,高眼圧の水晶体上皮に及ぼす影響が著しいと考えられた。
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