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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻4号

1990年04月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(2)1989年10月 名古屋 学術展示

外傷性毛様体解離に伴う近視化と調節力低下について

著者: 中塚和夫1 古嶋正俊1 蔭山誠1 今泉雅資1

所属機関: 1大分医科大学眼科

ページ範囲:P.496 - P.497

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 緒言 眼球打撲は,時に毛様体解離を生じ,低眼圧を招き視機能障害を併発する1)。このような症例においては,当初アトロピン点眼で保存的に経過をみることが多いが,今回我々はアトロピン未処置の2症例を経験した。経過観察中に,毛様体解離が屈折調節系ならびに視機能に与える影響について興味ある知見を得たのでここに報告する。
 症例1 21歳男性で,1988年11月単車運転中に転倒し,ハンドルで左眼を打撲。視力障害のため受傷4日後に当院を受診した。初診時所見:RV=1.2(1.5×−0.75D),LV=0.1(0.2×−2.5D)。眼圧(APP1.)RT=12mmHg,LT=11mmHg。左の上下眼瞼腫脹と結膜充血が見られる。角膜は著変なく前房深度は正常であったが,軽度の虹彩炎と散瞳がある。隅角は耳下側を中心に半周にわたり毛様体深部にまでおよぶ後退が観察された(図1)。眼底は受傷側の耳下側周辺部に,ベルリン混濁を伴った網膜硝子体出血を認めた。後極部は限局するびまん性の硝子体混濁に妨げられ定かではない。前眼部の炎症は軽いと判断し,アトロピン点眼をしなかった。経過:1週後にはLT=6mmHg (RT=15mmHg)と低眼圧をみたが,緩徐ながら上昇,出血と硝子体混濁の吸収がすすんだ。また,経過中に明らかとなった低眼圧黄斑症も改善,視力はほぼ5週後には,受傷前にまで回復した(図2)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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