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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻4号

1990年04月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(2)1989年10月 名古屋 学術展示

水晶体亜脱臼6症例の検討—亜脱臼の進行様式と前部硝子体膜

著者: 清水勉12 古吉直彦2 丸岡晶子2 木下房之2 木村章2 竹下哲二2

所属機関: 1熊本赤十字病院眼科 2熊本大学医学部眼科

ページ範囲:P.502 - P.503

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 緒言 中高年者の水晶体亜脱臼例をみた場合,いかに治療をするかということに注目が向けられ,亜脱臼の所見を注意深く観察することは少ない。水晶体亜脱臼の機序について考按してある報告は少なく,ほとんどが毛様小帯の断裂にその主因を求めている1)。今回,水晶体亜脱臼6例の臨床所見を検討したところ前部硝子体膜に裂隙が観察された。この所見と亜脱臼の進行様式との関連について考察したので報告する。
 症例 症例は1987年10月より1988年7月までに熊大眼科外来を受診した患者のうち水晶体亜脱臼症例6例であった(表1)。観察期問は初診より手術までで1日〜6か月,平均44日であった。性別は男性5例,女性1例で年齢は40歳から64歳までであった。原因別では外傷性2例,特発性4例であった。初診時に眼圧が20mmHgを越えていたものは5例にみられた。浅前房を示した3例の水晶体は前房側に前方偏位(亜脱臼)していたが,そのうちの2例は経過中に硝子体側に高度に亜脱臼した。症例1,2,3は初診時より硝子体側に亜脱臼していた。症例6を除く5例に前部硝子体膜に破れ目が見られた。外傷性水晶体亜脱臼の症例2では上方の前部硝子体膜に裂孔がみられた(図1)。症例5では初期に水晶体は前房側へ亜脱臼して浅前房を示していたが,経過観察中に前部硝子体膜に小さな裂隙形成を認めた(図2)。3か月後に受診した際には裂隙は拡大しており,水晶体は硝子体内に高度に亜脱臼していた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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