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臨床報告
文献概要
最近の5年間に15症例16個の網膜動脈瘤を経験し,その臨床像,治療法について検討した。平均年齢は69歳で,70歳代にピークがあり,高齢者に多かった。男性は7例,女性は8例で性差はなかった。受診動機は視力障害が13例,86%で最も多かった。15例全例に高血圧症があり,その他心疾患,糖尿病,脳血管障害が合併していた。動脈瘤の発生部位は耳側動脈に13例14個と最も多く,他は鼻側動脈と乳頭上に各1個ずつであった。1例で1眼に2個の動脈瘤が見られた以外はすべて片眼で1個であった。12例は動脈瘤より眼底後極部に濃厚な網膜出血や硝子体出血を生じた。螢光眼底造影にて動脈瘤を証明できたが,濃厚な出血のためにmaskingされ,出血吸収後にはじめて発見された例もあった。薬物療法にて経過観察のうえ,動脈瘤の自然消退傾向がない8例に光凝固を動脈瘤に直接行って,全例合併症もなく動脈瘤は器質化し,眼底病変の改善をみ,治癒した。
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