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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻5号

1990年05月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(3)1989年10月 名古屋 学会原著

黄斑部網膜前膜と後部硝子体膜の円形欠損

著者: 岸章治1 横塚健一1 戸部圭子1 田村卓彦1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科

ページ範囲:P.595 - P.599

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 後部硝子体剥離の完成した特発性黄斑前膜の硝子体を,ゴールドマン三面鏡で検索し,54例62眼に,後部硝子体膜の円形の欠損を観察した。この硝子体皮質の円形の窓は,眼底の黄斑前膜と,その人きさと部位が対応しており、後部硝子体膜が黄斑前膜の構成要素であることを示していた。
 硝子体皮質の円形欠損は,常に境界が鮮明で,その外縁では膠原線維が輪状に走行しており,これが偶発的に生じた裂孔ではないことを示唆していた。この窓の前方は,硝子体液化腔に連続するか,硝子体ゲルが窓を通って後方に脱出していた。これら所見から,欠損部位は,bursa premacularisの基底面に相当すると判断された。
 Bursa premacularisは,眼底後極部のすぐ前方にある硝子体液化腔である。bursaの墓底部では,硝子体皮質はbursaにより,ゲルから分離して,膜として存在する。
 我々は,bursaの基底面である硝子体皮質が,特発性黄斑前膜の本質であると結論する。黄斑前膜における,従来,説明不能であったさまざまな現象が,bursaと関連して解釈すれば,一元的に説明可能となることを論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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