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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻5号

1990年05月発行

文献概要

臨床報告

一過性霧視発作をきたした巨大乳頭の1例

著者: 前田英美1 小川亮子1 小林誉典1 宇山昌延1 志水久子2

所属機関: 1関西医科大学眼科 2黒川眼科

ページ範囲:P.735 - P.737

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 24歳の女性で全身運動時に片眼の一過性霧視発作を頻発する症例に巨大乳頭を認めた。
 初診時の視力は良好であった。視野は患眼のマリオット盲点の拡大がみられた。
 患眼の眼底には乳頭の著しい拡大と乳頭周囲の白色輪状組織および網膜静脈の著しい拡張・蛇行がみられた。他眼には異常をみなかった。螢光眼底造影により,乳頭周囲の白色輪状組織は造影早期は低螢光,晩期には過螢光を示した。また,網膜静脈の還流が遅れ,うっ滞を示す所見がみられた。
 本症例は,乳頭からその周囲に,組織の過剰増殖により,網膜動静脈に相対的に絞扼が起こり,網膜動静脈の循環不全状態になっていて,全身運動による上半身への血流低下のために血行不全が発生し,—過性霧視発作を起こしたものと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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