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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻6号

1990年06月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(4)1989年10月 名古屋 学会原著

ガンシクロビルが奏効したサイトメガロウイルス性網膜炎の3例

著者: 矢野真知子1 平野明夫2 石田剛3 安宅和代4 望月學4

所属機関: 1癌研究会附属病院眼科 2癌研究会附属病院化学療法科 3癌研究会附属病院病理部 4東京大学分院眼科

ページ範囲:P.789 - P.792

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 悪性リンパ腫に対する化学療法中にサイトメガロウイルス(CMV)性網膜炎が併発した3症例に新しい抗ウイルス剤であるガンシクロビル(5mg/kg,1日2回点滴静注)を投与した。症例1は59歳男性で両眼にCMV網膜炎を発症したがガンシクロビル療法により,軽症の右眼の網膜炎は改善し視力も向上した。重症の左眼では,網膜剥離となり視力改善はみられなかった。投与終了6週後に死亡したが,剖検では両眼の網膜にCMV封入体がみられた。症例2は56歳男性で左眼にみられたCMV網膜炎はガンシクロビルにより改善した。症例3は40歳女性で右眼にCMV網膜炎を発症し,ガンシクロビルにより網膜炎の改善をみたが,投与終了17日で再発し全身状態不良のため再投与を完了できず網膜炎は悪化した。3例ともに副作用として白血球減少があり,2例に血小板減少があった。ガンシクロビルは初期で有用であったが再発副作用の点でさらに検討を要すると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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