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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻6号

1990年06月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(4)1989年10月 名古屋 学会原著

老人性円板状黄斑変性症—網膜下嚢胞型の臨床経過

著者: 西村哲哉1 白紙靖之1 笹木右子1 高橋寛二1 大熊紘1 宇山昌延1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.806 - P.810

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 最近5年間に当科を受診した老人性円板状黄斑変性症256例309眼のうち,後極部の大きい胞状の網膜色素上皮剥離を主病像とする網膜下嚢胞型に分類された33例36眼(12%)について,その臨床的特徴を検討した。胞状の色素上皮剥離は黄斑部を含んで2〜3乳頭径大の大きいものが多く,その周囲に漿液性網膜剥離や硬性白斑,網膜下出血を伴っていた。色素上皮剥離内の脈絡膜新生血管は螢光造影によって確認することは困難であったが,その周囲に存在した新生血管に対して光凝固を行った。光凝固を行った18眼のうち,術後視力あるいは眼底所見の改善がみられたものは3眼16%にとどまり,視力の悪化したものの中には色素上皮裂孔を生じた2眼が含まれていた。光凝固を行わなかった症例では,約半数の症例で漿液性網膜剥離,硬性白斑,網膜下出血などが増強し,視力は徐々に低下した。老人性円板状黄斑変性症のうち,胞状の色素上皮剥離を主徴とする病型は,予後が不良で,光凝固の適応はほとんどないと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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