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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻6号

1990年06月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(4)1989年10月 名古屋 学会原著

内皮網に影響を与える薬剤の研究—4.Elastase

著者: 保谷卓男1 裏川佳夫1 宮崎守人1 石原淳1 瀬川雄三1

所属機関: 1信州大学医学部眼科

ページ範囲:P.825 - P.829

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 53,64,71,77歳の正常屍体摘出眼4例4眼より得た線維柱組織を(1)対照群,(2) Elas-tase投与群に分け,64,71,77歳は24時間,53歳は7日間器官培養した。Elastase投与群に対しては,77歳には1×10−1mg/ml,64歳には1×10−2および1×10−3mg/ml,71歳には1×10−4mg/ml,53歳には1×10−6mg/mlのelastaseを培養開始と同時に液体培地に加えた。
 各培養組織片の透過電顕試料を作製し,内皮網の形態学的観察を行った。また,一部の試料において,内皮網における構成要素,細胞成分,細胞外要素,空白部分の面積百分率を画像解析装置を用いて計測比較した。
 その結果,培養人線維柱組織にelastaseを投与することにより,細胞外要素を減少させることができた。
 また,慢性緑内障患者27例にelastaseを経口投与し,投与前,および投与12か月後のtonography C値の変化を検討したところ,統計学的に緑内障患者全体では,C値の有意の改善は認められなかったが,原発性開放隅角緑内障では有意のC値の改善が認められた(P<0.01)。
 Elastaseは人線維柱組織特に内皮網の細胞外要素を減少させ,房水流出率を改善させる可能性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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