文献詳細
文献概要
特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(4)1989年10月 名古屋 学術展示
眼症状で発見された悪性腫瘍の4例
著者: 池田晃三1 佐野雅洋1 湯口幹典1 白井正一郎1 馬嶋昭生1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.902 - P.903
文献購入ページに移動症例(表)症例1の主訴は左眼光視症で,初診時矯正視力は両眼とも0.9であった。左眼眼底の鼻側後極部に漿液性網膜剥離を伴った灰白色で境界不鮮明な4乳頭径×5乳頭径の脈絡膜腫瘤がみられた(図1)。螢光眼底造影では,腫瘤は全体に過螢光を示し,周辺部に斑点状の螢光染がみられた。超音波およびCTで,網膜剥離を伴う脈絡膜腫瘤像を認めた。転移性腫瘍を疑い問診したところ,5年前から右乳房に腫瘤を自覚していたが放置していたことが判明した。血漿CEA(carcinoembryonic antigen)は,11.0 ng/ml (EIA)と上昇していた。精査の結果,乳癌と診断されたが,他に転移巣はみられなかった。初診後,網膜剥離が急激に進行し視力は著しく低下した。右乳房切除術・左眼球摘出術を施行したが,2年後死亡した。病理組織学的診断は,髄様腺管癌であった。症例2の主訴は左眼霧視で,6年前乳癌のため右乳房切除術を受けている。
掲載誌情報