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臨床報告 カラー臨床報告
多彩な臨床経過を呈した先天性網膜動静脈吻合の1例
著者: 飯田知弘1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.929 - P.933
文献購入ページに移動 先天性網膜動静脈吻合に多彩な出血を合併し,光凝固により著明な眼底所見の改善をみた50歳男子を報告する。右眼視力障害が突発した。眼底には黄斑部に網膜下を主体とする出血があり,乳頭から下耳側へ向かう網膜の動静脈は著しい拡張と蛇行を呈し,周辺部で多数の動静脈吻合を形成していた。出血は一時硝子体へも拡散したのち,自然に吸収され,病状は安定していた。2年8か月後,網膜中心静脈閉塞症が併発した。これに対し,キセノン光凝固で吻合血管を直接に凝固することにより,網膜出血の消褪と吻合血管の狭細化と視力の安定化が得られた。術後の螢光眼底造影で,動静脈吻合の閉塞が確認された。
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