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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻7号

1990年07月発行

連載 眼の組織・病理アトラス・45

縮瞳と散瞳

著者: 猪俣孟1 岩崎雅行1 田原昭彦1

所属機関: 1九州大学

ページ範囲:P.982 - P.983

文献概要

 瞳孔pupilは眼内に入る光の量を調節する。明るい所では縮瞳miosis (図1)がおこり,逆に,暗い所では散瞳mydriasis (図2)がおこる。縮瞳は瞳孔括約筋sphincter pupillaeの緊張と瞳孔散大筋dilator pupillaeの弛緩によっておこり,散瞳は瞳孔散大筋の緊張と瞳孔括約筋の弛緩によっておこる。ヒトの瞳孔径は,極度に縮瞳した状態で約1mm,極度に散瞳した時には約9mmになる。つまり,散瞳時の瞳孔の面積は縮瞳時の約80倍にも達する。また,虹彩根部から瞳孔縁までの全幅は,縮瞳時が1.2mm,散瞳時が4.3mmで,虹彩の実質は放射状に約3.6倍の割合で伸縮する。このことから虹彩がいかに伸縮性に富む組織であるかが理解できる。
 瞳孔括約筋も瞳孔散大筋も神経外胚葉由来の上皮性細胞から筋組織が発達したものである。瞳孔括約筋は眼杯先端部から伸びた2層の神経外胚葉のうち,外層の神経上皮性細胞から実質側に伸びる筋突起が集合して平滑筋となったもので,瞳孔散大筋は外層の細胞が筋上皮細胞に分化したものである。すなわち,虹彩前上皮細胞は上皮性細胞としての特徴と平滑筋細胞として特徴を有していることになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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