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特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(5)1989年10月 名古屋 学会原著
増殖糖尿病網膜症における硝子体切除時IOL同時挿入眼についての検討
著者: 広瀬浩士1 安藤文隆1 長坂智子1 野々村佳代子1 笹野久美子1 坂寛子1
所属機関: 1国立名古屋病院眼科
ページ範囲:P.1029 - P.1032
文献購入ページに移動同時手術の方法は,水晶体嚢外摘出を行ったあとに硝子体切除を行い,最後にIOLを挿人する方法(Ⅰ群),水晶体嚢外摘出後IOLを挿入し,その後硝子体切除を行う方法(Ⅱ群)と,経毛様体扁平部水晶体切除後,硝子体切除を行い,最後に前房を開け,IOLを水晶体前嚢前に挿入固定する方法(Ⅲ群)である。Ⅰ群6例6眼,Ⅱ群3例3眼,Ⅲ群7例7眼であった。
術後視力はⅢ群の2眼を除き,すべて2段階以上の向上が認められた。術後炎症の程度はフィブリン析出の有無,虹彩後癒着の有無,眼圧上昇などについて比較した。フィブリン析出,虹彩後癒着ともにⅠ群では6眼中5眼(83.2%),Ⅱ群ではそれぞれ3眼中2眼(66.7%),および1眼(33.3%)とかなりの高率で出現したのに対し,Ⅲ群はフィブリン析出が7眼中1眼(14.3%),虹彩後癒着は全く認められず,その出現頻度に有意差が認められた。水晶体嚢混濁の発生はⅠ,Ⅱ群に比べ,Ⅲ群はかなり早くから出現し,その程度も強く,2眼は観血的処置を必要とした。術後,眼底状態が悪化し例再手術に至ったものは,増殖性変化の増強により,牽引性網膜剥離を呈したⅠ群の1症例のみであった。
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