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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻7号

1990年07月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(5)1989年10月 名古屋 学術展示

原発性定型網膜色素変性症の遺伝的異質性と臨床像に関する検討

著者: 早川むつ子1 藤木慶子1 田辺歌子1 堀田喜裕1 金井淳1 加藤和男1 中島章1 本田孔士2

所属機関: 1順天堂大学医学部眼科 2京都大学医学部眼科

ページ範囲:P.1096 - P.1097

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 緒言 原発性網膜色素変性症(本症と略す)の遺伝形式別頻度や臨床像については,すでに我が国でも報告1,2)があるが,これらにはX染色体性遺伝(X性と略す)が極めて少なく,その臨床像については明らかにされていない。1975年のBird3)の総説以来,我が国でもX性について見直しがなされるようになり,また血族結婚の著明な減少に加え小家族化傾向の進行など,遺伝に関する状況も変化して来ている。そこで今回私達は遺伝相談並びに患者の予後の推定に役立つ資料を得る目的で,遺伝的異質性と各遺伝形式における臨床像の差異について検討したので報告する。
 方法及び対象 1980〜1988年の9年間に順天堂大学眼科を受診して網膜色素変性症と診断された症例のうち,眼底写真または詳細な眼底スケッチの記録があって,非定型的本症や,近縁疾患であるコロイデレミアやGyrate atrophyなどとの鑑別ができ,かつ症候群に属する者や,ぶどう膜炎既往者,特殊な全身異常合併者などを除き,家族歴の詳細な記録のある定型本症の385例,男性221名,女性164名,平均年齢40.6±17.1歳を対象とした。なお,一般的な定型本症の予後を知る目的のため,指眼徴候を有するレーバー先天盲や黄斑コロボーマを有する先天発症例も対象から除外した。各遺伝群の発症時期,視力や視野の程度,ERG所見,経過年数と視力の関係について比較した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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