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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻8号

1990年08月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・46

神経ベーチェット症候群

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学

ページ範囲:P.1178 - P.1179

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 神経ベーチェット症候群neuro-Behçet's syn-dromeとは,ベーチェット病患者が中枢神経をおかされて何らかの神経症状を呈するものをいう。神経症状はベーチェット病患者全症例の10〜20%に発現する。神経症状が一過性または持続性におこり,しかも自然寛解と増悪を繰り返す。最近では,シキロスポリンが投与されたベーチェット病患者に神経ベーチェット症候群が誘発されたという報告もある。神経ベーチェット症候群患者は生命の予後が悪く,神経症状発現から平均3年で死の転帰をとるといわれている。
 神経ベーチェット症候群の臨床症状はきわめて多彩で,その特徴は主として運動神経麻痺と脳幹機能障害である。運動神経麻痺としては緊張性四肢麻痺がおこり,脳幹部障害としては,脳神経麻痺,構音障害,嚥下困難,強制泣き笑い,小脳障害としての運動失調,企図振戦,眼球振盪などがみられる。また,記銘力減退,人格崩壊,意識混濁,幻覚,妄想などの精神障害がおこり,精神病との鑑別が難しいことがある。神経ベーチェット症候群の症状は大まかに1)脳幹部症状 brain-stem syndrome, 2)髄膜脊髄炎症状 menin-gomyelitic syndrome ,3)器質性精神症状organic confusional syndromeの3群に分けられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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