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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻8号

1990年08月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(6)1989年10月 名古屋 学会原著

伴性遺伝性若年網膜分離症で標的黄斑症を呈することがある

著者: 若林謙二1 西村彰1 岡本剛1 斎藤友護1 河崎一夫1

所属機関: 1金沢大学眼科

ページ範囲:P.1195 - P.1199

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 伴性遺伝性若年網膜分離症では眼底中心窩の類嚢胞状変化と車軸状ひだ形成を特徴とするが,年長者ではこの典型的な黄斑部所見が不明瞭ないしは確認不能となることが多い。
 本症の46歳と49歳の兄弟症例の1例に,本症としてはきわめて非特異的である典型的な標的黄斑症を経験した。筆者の知る限りこれまでに若年網膜分離症で標的黄斑症を呈することを強調した報告はなく,したがって今後は本症を標的黄斑症の鑑別疾患のひとつとして認識すべきである。非特異的な黄斑部所見を呈する本症の症例に遭遇した場合に,本症と診断するために,銀箔ないし金箔様網膜反射,single flash ERGのnegative波形,4Hz単色光ERGのnegative波形などを確認するとともに,白色樹枝状病巣や螢光造影での血管異常,色素性網脈絡膜萎縮に到っている場合には白色の線状組織の存在などに注意することが有用である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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