文献詳細
特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(6)1989年10月 名古屋
学会原著
文献概要
われわれは,単純性から増殖性を含む糖尿病網膜症716眼の螢光眼底造影所見を解析し97眼13.5%に動静脈短絡路が存在することを明らかとした。そのうち,連続撮影で確認できなかったが,動脈と静脈が形態的に連絡している短絡路は56眼あり,連続撮影で証明された機能的にも真の短絡路は41眼あった。後者は,以下の3型に分類された。①細動静脈経由のもの,②拡張した毛細血管経由のもの,③異常血管経由の短絡路である。動静脈短絡路の出現頻度は,糖尿病網膜症の進行度と関係があり,病期が進行するほどその発生頻度も増加し,増殖網膜症では21%に達することが明らかとなった。糖尿病網膜症に動静脈短絡路が存在するという事実は,今まで明らかにされている糖尿病網膜症の進行因子を,再検討する余地のあることを示していると考える。
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