icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻8号

1990年08月発行

文献概要

特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(6)1989年10月 名古屋 学会原著

状況依存性内斜視のアモバルビタール点滴静注による診断法ならびに手術量の定量法について

著者: 奥英弘1 内海隆1 菅澤淳1 中村桂子1 澤ふみ子1 野邊由美子1 濱村美恵子1

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1221 - P.1224

文献購入ページに移動
 乳幼児期に部分調節性内斜視で発症し,屈折矯正で良好な眼位が得られた後,10歳頃の前思春期になり病識をある程度もつようになると,眼位不安が生じ,日常眼位はよいのに検査時の内斜視角が急激に増大する症例を散見する。これらの症例は,患児の性格に,検査という精神緊張をきたす状況が加わって,状況依存性に内斜が増大していると推定される。こういった特徴をもつ症例を,新たに状況依存性内斜視と呼ぶこととした。今回12例の状況依存性内斜視に対し,その診断・手術の適否・手術量の定量を目的として,アモバルビタールを点滴静注し,その前後で斜視角の変化を検討した。その結果9例(75%)の症例が10△以上の斜視角減少をきたし,最大45△の減少を認めた。残余斜視角に対し7例で手術を行い,術後眼位は遠見2〜12△ET,近見4〜20△ET’と良好であった。アモバルビタール点滴静注は,状況依存性内斜視の診断・手術量の定量に非常に有用であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?