特集 第43回日本臨床眼科学会講演集(6)1989年10月 名古屋
学術展示
糖尿病網膜症外来受診者の糖尿病発見の契機と経過に関するアンケート調査の検討
著者:
森脇郷子1
斉藤ゆり1
土佐南緒子1
早川むつ子1
金井淳1
中島章1
池田敏春2
稲葉裕3
所属機関:
1順天堂大学眼科
2太田西の内病院眼科
3順天堂大学衛生学
ページ範囲:P.1292 - P.1293
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緒言 内科治療の進歩により,罹病期間の長い糖尿病(DM)患者が増加し,重症な増殖性網膜症の合併が増え,糖尿病性網膜症(DR)は近年成人失明例の原因の上位を占めている。網膜光凝固術(PC)や硝子体手術などの治療が普及しているが,進行例ではこれらによっても完全に失明をくいとめられない場合があることを日常往々にして経験する。したがってDRによる失明を減少させるには,何よりもDRの発症と進行の予防が重要であり,DRが発症した例では適切な時期に PCが施行されることが望ましい。そのためにはDMの早期発見と早期からの継続的なDMコントロール,眼底の管理が重要なことは周知の事実である。しかしながらインスリン非依存性DM (NIDDM)では自覚症状が乏しいため,DMの発見が遅れたり,治療への動機づけが乏しいために治療からの中途脱落や長期放置例などが少なくなく,眼科受診が遅れる例もかなり認められる。私たちは日常診療で実感する問題点を具体的に把握する目的でアンケート調査を行ったので報告する。
対象および方法 1988年10月以降順天堂大学眼科を,1989年4月以降太田西の内病院眼科を受診したDM患者のうちNIDDM 315名(男性164:女性151,平均年齢59.4±11.3歳,患者申告平均罹病期間11.7±8.6年)を対象とした。