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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻8号

1990年08月発行

文献概要

臨床報告

角膜実質炎で肺結核症が発見された1例

著者: 渡辺仁1 大橋裕一2 渡辺晶子3 藤本房子4 真鍋禮三2

所属機関: 1大阪回生病院眼科 2大阪大学眼科 3大阪船員保険病院眼科 4淀川キリスト病院眼科

ページ範囲:P.1301 - P.1304

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 眼症状より肺結核症の存在が明らかになった角膜実質炎の24歳の女性例を報告した。全身的な自覚症状はなかったが,4年前に兄が肺結核に罹患していた。初診時,右眼に上強膜炎と,角膜周辺実質深層に強い浸潤と怒張した血管侵入のある角膜実質炎を認めた。左眼でも同様の血管侵入を認めた。胸部X線検査で左右両肺野に陰影を認め,ツベルクリン反応は(++)であった。内科で肺結核と診断され,抗結核薬の投与とベータメサゾンの点眼をおこなった。治療開始2か月後に両眼とも上強膜炎は消失,右眼の角膜への浸潤と血管侵入も鎮静化した。6か月後には,胸部X線所見が著明に改善し,内服および点眼治療を中止した。眼症状は以後再燃していない。結核菌による角膜実質炎は現在も存在しており,臨床上もそうした注意を払って診察を進める必要があると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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