icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻8号

1990年08月発行

文献概要

臨床報告

部分的なβガラクトシダーゼ欠損を伴うシアリドーシスの若年例

著者: 高橋京一1 岸章治1 新井正史2 近藤進2 山内豊明3

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室 2群馬大学医学部神経内科学教室 3新潟大学医学部神経内科学教室

ページ範囲:P.1305 - P.1310

文献購入ページに移動
 11歳男子を,部分的なβガラクトシダーゼ欠損を伴うシアリドーシスと診断した。矯正視力は左右とも0.6で,眼科的には,羞明,軽度の視力障害,角膜深層の顆粒状混濁,桜実黄斑があった。全身的には,軽度の低身長,腕長の増大,手掌の毛細血管拡張,陰嚢の角化血管腫があった。神経学的異常として,ミオクローヌス,体幹失調,軽度の精神発達遅延があった。腰椎椎体の扁平化,前棘形成,大腿骨頭,寛骨臼の形成不全,トルコ鞍後床突起の鈍化など,ムコ多糖症類似の骨変形があった。組織学的には,リンパ球の空胞化,神経細胞内の膜様構造物の蓄積が証明された。特異な顔貌を呈し,眼瞼,鼻翼,耳介,口唇,歯肉の肥厚,アーチ状の眉毛,鞍鼻,多毛,下顎の低形成があった。リンパ球のα-neuraminidaseが正常の25%以下に低下し,リンパ球,白血球の β-galactosidaseが正常の10%以下に低下しており,上記診断が確定した。母方の叔母も同じ酵素が低下しており,同一の疾患であると推定された。本疾患の確定診断は酵素の測定によるが,特異な顔貌は,本疾患を鑑別するうえで重要な所見であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?