文献詳細
文献概要
臨床報告
黄斑円孔術後にみられた網膜上増殖組織の病理組織学的観察
著者: 向野利寛1 魚住博彦1
所属機関: 1産業医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1338 - P.1345
文献購入ページに移動 62歳,女性で黄斑円孔治療のためにジアテルミー穿刺凝固と黄斑プロンベ縫着術を行った。この眼は5年後に脈絡膜悪性黒色腫が発生し,摘出された。この眼球後極部の増殖組織を光顕および電顕で観察した。
1)黄斑中央部の網膜内に脈絡膜よりつづく線維性血管膜があった。この線維性血管膜は内皮細胞とその周囲を取り巻く線維芽細胞,膠原線維により構成されていた。
2)網膜上にも同様の形態を有する線維性血管膜を認めた。線維性血管膜は部位により内境界膜が肥厚,分離した間に存在した。網膜は牽引され,雛襞を形成していた。
3)線維性血管膜の硝子体側に所々網膜から橋状に伸びる管腔様の増殖組織がみられた。
これは電顕的に一層のグリア細胞が平行に存在する所見であった。
以上より,網膜剥離にジアテルミー穿刺凝固を行った術後には,網膜内や網膜上に線維芽細胞を主体とする線維性血管膜が形成される可能性が示唆された。
1)黄斑中央部の網膜内に脈絡膜よりつづく線維性血管膜があった。この線維性血管膜は内皮細胞とその周囲を取り巻く線維芽細胞,膠原線維により構成されていた。
2)網膜上にも同様の形態を有する線維性血管膜を認めた。線維性血管膜は部位により内境界膜が肥厚,分離した間に存在した。網膜は牽引され,雛襞を形成していた。
3)線維性血管膜の硝子体側に所々網膜から橋状に伸びる管腔様の増殖組織がみられた。
これは電顕的に一層のグリア細胞が平行に存在する所見であった。
以上より,網膜剥離にジアテルミー穿刺凝固を行った術後には,網膜内や網膜上に線維芽細胞を主体とする線維性血管膜が形成される可能性が示唆された。
掲載誌情報