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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻8号

1990年08月発行

文献概要

臨床報告

中心性漿液性網脈絡膜症のパターンERGによる検討

著者: 新井三樹1 塚田孝子1 河野真一郎1 根木昭2 本田孔士1

所属機関: 1京都大学眼科学教室 2天理よろず相談所病院眼科

ページ範囲:P.1357 - P.1361

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 中心性漿液性網脈絡膜症(CSC)患者29例においてパターンERG (PERG)を記録し,正常対照群18人の結果と比較検討した。PERGの評価には陽性波のP1とそれに続く陰性波N2の振幅と潜時を用いた.CSC患者のうち黄斑部網膜剥離のあるもの17例中9例(52%)でP1潜時が正常域より延長し,15例(88%)でN2振幅が正常域より減少していた。これに対して黄斑部網膜剥離の復位していたもの12例中,P1潜時が延長していたのは2例(17%),N2振幅が減少していたのは4例(33%)であった。視力,発症からの期間および中心暗点の有無について,PERGの各成分とを比較検討したが,相関はなかった。PERGはその刺激が後極部に限局し,神経節細胞からの応答が期待でき,視力,中心暗点などの黄斑部機能の自覚的指標では表し得ない黄斑部異常を客観的に評価できると考えられ,CSCの経過を観察するうえで有用な他覚的指標と考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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