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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科44巻9号

1990年09月発行

文献概要

臨床報告

黄斑裂孔を伴ったpit-macular syndromeに対する光凝固療法

著者: 大西克尚1 佐川卓司1 荒木英生1 石橋達朗1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1463 - P.1467

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 Pit-macular syndromeは先天性の視神経乳頭小窩に黄斑部の障害を伴った疾患である。この黄斑部の変化は主に視神経乳頭のpitを通って網膜下に移動した液により引き起こされると考えられているので,治療として光凝固療法が行われることが多いが,その凝固方法も一定していない。また,硝子体手術や硝子体内空気注入術も行われ,まだ治療方法が確立していない。そこで今回,本症に対して色素レーザーやアルゴンレーザーを応用し治療法を検討した。
 症例は17歳の女性で右眼の視力低下が初発症状である。視力は0.5であったが,2週間後に黄斑裂孔をきたし0.08に低下した。Pitの底面に存在していた透過性亢進を示す小血管の閉塞と,光凝固後のグリア細胞の増生による網膜下液の供給路の遮断とを目的としてpit底のみをアルゴンや色素レーザーで光凝固を行ったが無効であった。Pit縁の網膜に色素レーザー凝固を行ったが効果がなく,アルゴンレーザー凝固を行ったところ網膜剥離は消失し,視力は0.2に改善した。したがって,本症の治療には網膜と脈絡膜の癒着を強く起こすアルゴンレーザーを用いてpit縁の網膜に凝固するのがよいと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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