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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻1号

1991年01月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病性網膜症での剥離網膜血管

著者: 広川博之1 吉田晃敏1 門正則1 秋葉純1

所属機関: 1旭川医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.31 - P.34

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 剥離網膜血管(avulsed retinal vessel:ARV)のある糖尿病性網膜症例36眼の臨床所見を検討した。36眼のすべてが増殖性網膜症で,高頻度に網膜光凝固術あるいは硝子体出血の既往があった。ARVは耳側網膜に多発し,また,すべて赤道部より後極の網膜静脈に存在していた。後部硝子体はすべての症例でARVに牽引のある部分剥離であった。また,ARVの位置に網膜新生血管が7眼(19%)に観察された。経過を観察できた21例のうち新たに7例(33%)に硝子体出血が生じた。網膜新生血管が生じた例は皆無であった。
 以上より,糖尿病性網膜症でのARVの発生には,網膜光凝固術による網膜内層の破壊,硝子体出血による硝子体の収縮,およびNVを介する網膜血管と硝子体の強固な接着が関与していると推測された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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