臨床報告
白内障手術後角膜の形状解析 第2報
著者:
池沢暁子1
宮田和典1
清水公也1
所属機関:
1武蔵野赤十字病院眼科
ページ範囲:P.39 - P.43
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白内障手術における術後乱視の観察を角膜のphotokeratoscope写真をphotoker-atoanalyser (PKA)を用いて解析し,角膜の中間周辺部の形状変化を観察した。対象は,7mm (10眼)および3.9mm (11眼)の強角膜切開創より超音波乳化吸引術と眼内レンズ移植を施行した2群21眼である。角膜乱視は術前,術後7日,1,3,6か月に,中央部をauto-keratometerで,中間周辺部はPKAを用いて測定した。形状解析は直径約3mm,約6mmの部位に相当する垂直方向の上下,水平方向の鼻側,耳側の計8か所で行い,局所の屈折力の術前値からの動きを算出した。7mm群において,中央部の角膜形状は7日目に水平方向はflat化,垂直方向はsteep化した。また垂直方向の中間周辺部の屈折力の動きは縫合部に近い部位ほど大きい値を示し,非対称的な変形を示した。ところが小切開3.9mm群では,水平,垂直方向は角膜中央部,中間周辺部ともに角膜屈折力の変化は小さく,術後角膜の変形は少なかった。白内障手術において,小切開法は従来の切開法と比べ,術後早期より角膜形状変化を少なくするために優れた方法と考えられる。