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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科45巻10号

1991年10月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・303

有水晶体眼におけるNd:YAGレーザー瞳孔形成術

著者: 大鹿哲郎 ,   松橋綾子

ページ範囲:P.1636 - P.1637

 緒言 瞳孔領に膜様の組織がみられる病態としては,先天性の瞳孔膜遺残や,外傷,内眼手術,眼内炎症後などに生じる続発性のものがある。これらの瞳孔領病変をレーザーによって切開しようとする試みは以前から行われており,特に近年はNd:YAGレーザーの普及に伴って,レーザーによる非観血的切開法が治療法の第一選択となっている。しかし,有水晶体眼での治療は必ずしも容易ではなく,その報告例も数少ない1,2)
 今回筆者らは,梅毒性ぶどう膜炎によると思われる両眼性瞳孔閉鎖の一症例に対し,Nd:YAGレーザーによる瞳孔形成ならびに虹彩後癒着剥離を行った。本症例の経過を観察し,特に1眼については発症前からの全経過を記録することができたので,ここに供覧する。

眼の組織・病理アトラス・60

アミロイド小体

著者: 猪俣孟

ページ範囲:P.1640 - P.1641

 アミロイド小体corpora amylaceaとは,中高齢者の網膜や視神経の神経線維内にアミロイド線維様の微細線維が充満して,組織学的に小球状の沈着物として認められるものをいう。アミロイド小体の大きさは直径が5.0—20μmで,光学顕微鏡もしくは電子顕微鏡観察によってはじめて観察される病変であり,臨床的病変の呼称ではない。
 アミロイド小体という名はVirchowによってはじめて命名されたもので,脳内に澱粉粒に似た小球状の物質が観察されたことによる。

今月の話題

眼内増殖組織の臨床

著者: 向野利彦 ,   向野利寛

ページ範囲:P.1643 - P.1646

 眼内増殖組織はさまざまな病態を含んでいるが,血管の有無で分けることができる。本態は創傷治癒であり,特異な結合組織である硝子体の様相が大きく関与する。硝子体側では内境界膜,硝子体にそって,網膜下ではフィブリンを足場に,細胞が増殖する。末期には,網膜の前後面とも結合組織で覆われることがある。

眼科手術のテクニック—私はこうしている・34

硝子体手術と眼内レンズ挿入の同時手術

著者: 荻野誠周

ページ範囲:P.1699 - P.1701

術式の選択
 特発性後部硝子体膜症候群特発性黄斑上膜形成症,硝子体網膜(黄斑)牽引症候群—のように術後炎症が軽いものには
 ①インフュージョン設置

眼科薬物療法のポイント—私の処方・34

急性出血性結膜炎

著者: 秦野寛

ページ範囲:P.1704 - P.1705

患者:57歳女性 主訴:眼痛
 白内障精査目的にて眼科を受診し,眼圧測定を含む検査一式を受けて帰宅した。翌日になり,右眼に異物感,眼痛,流涙を突然自覚し,同日左眼も発病したため翌々日眼科を再受診した。結膜には軽度の濾胞が見られ,耳前腺の圧痛と腫脹は不明瞭である。フルオレセインに染まる角膜びらん,および球結膜の上方に斑状の出血をみとめた。

臨床報告

Ocular Toxocariasisに対する硝子体手術

著者: 坂上憲史 ,   田野保雄 ,   春田恭照 ,   池田恒彦 ,   不二門尚 ,   中江一人 ,   張國中 ,   日下俊次 ,   今居寅男 ,   辻守康

ページ範囲:P.1647 - P.1650

 臨床症状および免疫学的検索により眼寄生虫症が疑われた7眼に対して硝子体手術を行い,術中に採取した硝子体に対し免疫学的検索を行った。7眼のうち6眼は網膜剥離併発例,1眼はステロイド療法に抵抗する硝子体混濁例であった。最終的に6眼中5眼に網膜の復位を,1眼に硝子体混濁の改善をえた。7眼全例に視力予後の改善をみた。硝子体手術の意義は硝子体切除による中間透光体の再建と免疫複合体などの炎症起因物質の除去,網膜に対する牽引の解除,増殖塊の瘢痕形成促進などである。ステロイド剤の投与に抵抗する症例,牽引性網膜剥離,裂孔併発型牽引性網膜剥離など黄斑部の不可逆的変化が心配される症例に対しては診断学的意味も含めて積極的に硝子体手術を施行すべきである。

網膜剥離眼の眼軸長

著者: 天野浩之 ,   谷原秀信 ,   佐藤恵美子 ,   植田良樹 ,   鈴木聡美 ,   石郷岡均 ,   河野眞一郎 ,   根木昭 ,   本田孔士

ページ範囲:P.1651 - P.1655

 裂孔原性網膜剥離眼215例247眼について眼軸長を計測し年齢,性別,眼底所見との関連を検討した。年齢構成は全体として50歳代にピークのある一峰性分布であった。弁状裂孔は高齢者,格子状変性中円孔は若年者に多くみられた。有意に眼軸長が長かった因子としては(1)若年者(50歳未満)(2)男性(3)格子状変性を伴う網膜裂孔があった。扁平剥離は胞状剥離よりわずかに眼軸長が長いが有意差はなかった。

原田病の臨床症状とHLA抗原との関連

著者: 山本倬司 ,   佐々木隆敏 ,   小川公明

ページ範囲:P.1657 - P.1661

 原田病患者について,臨床症状の重篤度とHLA抗原との相関を検索した。96症例の検査結果ではBw54, Cw1, DR4, DRw53, DQw3が有意に頻度が高かった。DQw3が最も高く,DR4よりもBW54が低かった。この結果,原田病の疾患感受性遺伝子はDQ Locusの付近にあると推定された。
 ステロイド大量療法が行われなかった45症例では,Bw54, DR4, Cw1のいずれもがない群で,臨床症状が軽症であり,予後が良好であった。特定の抗原の組み合わせが臨床症状の重症度と関係する所見は観察されなかった。

網膜静脈閉塞症の全身的因子

著者: 寺西千尋

ページ範囲:P.1663 - P.1666

 対象は網膜静脈閉塞症新鮮例59例—中心静脈閉塞15例(男10例,女5例),分枝閉塞44例(男女,各22例)—で,平均年齢は中心静脈閉塞65.2歳,分枝閉塞60.2歳,前者は他報告に比し高齢であった。年齢,性別,季節的変動,貧血,血清蛋白分画,高血圧,肥満度,喫煙,アルコール嗜好において,中心静脈閉塞と分枝閉塞間に差はなかった。ただし,中心静脈閉塞では,対照に比し,血清アルブミン・グロブリン比の減少,α1およびα2グロブリンの増加がみられた。
 網膜静脈閉塞症において,高血圧との関係が再確認された。つまり,血圧正常で降圧剤服用中の人や高血圧既往者を含むと中心静脈閉塞の80%,分枝閉塞の61%を占めた。しかし,喫煙やアルコール嗜好者は少なく,網膜静脈閉塞と直接の深い関連はないと考えられた。

眼感染症分離菌に対するofloxacinの臨床的有用性の評価

著者: 田原和子 ,   浅利誠志 ,   堀川晶行 ,   塚本寿子 ,   豊川真弘 ,   網野信行 ,   宮井潔 ,   大橋裕一

ページ範囲:P.1667 - P.1672

 当院受診の眼感染症患者からの分離菌について,点眼用抗生剤ofloxacin (OFLX),to-bramycin(TOB),erythromycin(EM),cef-menoxime(CMX),sulbenicillin(SBPC)に対するMIC(minimum inhibitory concentration)を測定し,さらに三井らの判定基準1,2)に準じ,臨床的有用性について検討した。MSSA(methicillinsensitive Staphylococcus aureus)およびMSS(methicillin sensitive Staphylococcus sp.)では5薬剤とも低いMIC値が得られた。一方,多剤耐性菌であるMRSA(methicillin resistantStphylococcus aureus)およびMRS(methicillinresistant Staphylococcus sp.)では,OFLXにおいて最も低いMIC値が得られた。Corynebacter-ium sp.ではEMで特に低いMIC値が得られ,Propionibacterium sp.ではTOBを除く他の4薬剤で低いMIC値が得られた。以上の結果の臨床的有用性評価より,OFLXが菌種間における抗菌力の低下もみられず最も広域な抗菌スペクトルを有する有用な点眼剤と思われる。

視野狭窄が進行した開放隅角緑内障に対するトラベクロトミー

著者: 加藤研一 ,   井戸稚子 ,   松村美代

ページ範囲:P.1673 - P.1676

 トラベクロトミーを施行した原発開放隅角緑内障(POAG)と水晶体偽落屑症候群を伴う開放隅角緑内障(PE)のうち,術前視野が湖崎分類Ⅲa以上に進行していた31眼(POAG 25眼,PE 6眼)を追跡調査した。平均術後経過観察期間は23.6か月で術前眼圧コントロール不良であった24眼のうち22眼92%が良好となった。視野が術後悪化した症例は3眼10%であった。術後高眼圧が続いた1眼を除き,視機能に影響を与える術後合併症はなかった。トラベクロトミーは,視野狭窄が進行した緑内障に対しても安心して施行できると思われた。

糖尿病網膜症の修飾因子—Ⅱ.視神経萎縮

著者: 中村誠 ,   井上正則

ページ範囲:P.1677 - P.1681

 片眼に視神経萎縮(以下萎縮)を合併した糖尿病網膜症患者(以下網膜症)9例18眼における,萎縮の網膜症抑制効果についてretrospec-tiveに検討した。萎縮の原因は,外傷性視神経症1例,前部虚血性視神経症4例,原因不明4例であった。このうち,萎縮が高度で,視野障害も比較的広範囲な5症例は萎縮側の網膜症が対眼より軽度で,萎縮による網膜症の抑制効果と思われた。しかし,萎縮が軽度であった残りの4例では網膜症に左右差は生じなかった。萎縮が網膜症を抑制するには,ゴールドマン視野で1/4以上の視野障害が生じる程度,視神経障害が高度になる必要性が示唆された。

ドルーゼンが原因と考えられる老人性円板状黄斑変性の1例

著者: 福山会里子 ,   石橋達朗 ,   大西克尚

ページ範囲:P.1711 - P.1714

 ドルーゼンが原因と考えられる老人性円板状黄斑変性の1例を経験した。症例は54歳の男性。初診時,矯正視力は右1.2,左0.02。両側眼底に,広範囲に多数のドルーゼンを認めた。後極部のものはsoft drusen,周辺部のものはharddrusenであった。左眼黄斑部に,網膜下新生血管と網膜色素上皮下の出血斑を認めた。止血剤や循環改善剤を投与した。徐々に左眼の出血が吸収され,初診時より9か月後には左眼視力0.3と改善した。しかし,左眼の網膜下新生血管は増大した。両眼に広範囲に存在するドルーゼンをみた場合,特にそれがsoft drusenである場合には,網膜下新生血管の発生に十分注意すべきである。

血管新生緑内障患者における血液透析中の眼圧と血漿浸透圧の経時的変化

著者: 鎌田京美 ,   田原昭彦 ,   佐川卓司

ページ範囲:P.1715 - P.1717

 左眼血管新生緑内障を有する69歳の女性の血液透析中の眼圧,血漿浸透圧,血漿の二酸化炭素分圧を経時的に測定して,血液透析中の眼圧上昇の機序について検討した。血液透析中,血漿浸透圧は急激に低下した。眼圧は房水流出障害が存在する左眼のみが徐々に上昇し,房水流出路に異常のない右眼の眼圧に大きな変動はなかった。血漿二酸化炭素分圧と眼圧変動の間に相関関係は認めなかった。グリセオールを点滴しながら血液透析を行うと,血漿浸透圧の上昇は見られず眼圧も上昇しなかった。以上の結果は,血液透析中の眼圧上昇には,血漿浸透圧が急激に低下することとともに,房水流出障害が存在することが関係することを示唆する。

局所麻酔下の眼科手術が心電図と動脈血酸素飽和度に及ぼす影響

著者: 安間哲史 ,   安野雅恵 ,   安間正子 ,   安間文彦

ページ範囲:P.1719 - P.1726

 入院手術を行った100例について,局所麻酔下の眼科手術が循環と呼吸に及ぼす影響を検討した。対象者の平均年齢は68.6歳である。前投薬筋注2時間前から3チャンネルホルター型心電計を装着し,手術室入室中はパルスオキシメータ測定の動脈血酸素飽和度(SaO2)も同時記録した。前投薬として,手術開始30分前に硫酸アトロピン(アヘンアルカロイドアトロピン:7例を含む),塩酸ヒドロキシジンを筋注した。
 前投薬後,麻酔後に増加傾向のあった平均脈拍数と最高脈拍数は,術後後期には基準値に戻る傾向を示した。心室性期外収縮は前投薬後,麻酔後,術後を通して減少傾向を示した症例が多く,上室性期外収縮も術後に減少傾向があったが,症例によってその傾向には大きなばらつきがあった。
 手術室入室中のSaO2の最低値が90%未満を示した症例が16例もあったことは,高齢者を中心とした局所麻酔下の眼科手術患者のモニターとして,術中のSaO2測定が有用であることを示すものであると考えた。

結晶状角膜ジストロフィの3症例

著者: 松下美鈴 ,   大野敦史 ,   児山工 ,   五島紳一郎 ,   江口晃二 ,   大月洋 ,   松尾信彦

ページ範囲:P.1727 - P.1731

 結晶状角膜ジストロフィの3症例を報告した。症例1は針状の結晶で構成された円盤状の混濁,症例2は結晶のない円盤状の混濁,症例3は針状の結晶で構成された輪状の混濁であった。症例1,2は母子例で,家族歴から常染色体優性遺伝と推定した。血漿中の脂質濃度が上昇している症例はなかった。症例3の両眼に全層角膜移植術を行い角膜片を組織化学的に検索した結果,角膜実質とボーマン膜にコレステロールの結晶が証明された。

眼内レンズが挿入された緑内障眼の静的量的視野の評価

著者: 湖崎淳 ,   竹内正光 ,   西川睦彦 ,   山岸和矢 ,   三木弘彦

ページ範囲:P.1733 - P.1736

 緑内障の眼内レンズ挿入眼で眼内レンズが偏位した症例に視野異常がみられ,レンズの偏位による影響と思われる2例を紹介した。偽水晶体眼の緑内障の経過観察において,眼内レンズの偏位があると,静的視野に影響することを考慮し,ゴールドマン視野計との併用が必要であり,静的視野の評価には有水晶体眼と異なる見方が必要である。

円錐角膜の角膜形状分類と臨床所見

著者: 前田直之 ,   岩崎直樹 ,   細谷比左志 ,   松田司 ,   大橋裕一 ,   木下茂 ,   眞鍋禮三

ページ範囲:P.1737 - P.1741

 円錐角膜241例421眼を,photokerato—scope (PKS)を用いて,角膜形状異常の程度に応じて3群に分類し,各群の臨床所見について検討した。Ⅰ群(軽度)はPKS写真の中央のリングのみに変化のあるもの,Ⅱ群(中等度)は中央に加え周辺部に変化が認められるもの,Ⅲ群(高度)は中央部の変化が著しいものとすると,対象はⅠ群210眼,Ⅱ群116眼,Ⅲ群95眼に分類された。Ⅰ群,Ⅱ群,Ⅲ群の順に角膜実質混濁,およびacute hydropsの出現頻度は増加し,コンタクトレンズによる矯正視力は低下した。初期円錐角膜を角膜中央部の突出や菲薄化が細隙灯顕微鏡検査で不明瞭であり,keratoconus lineやFleischer'sringが存在しないが,PKSで円錐角膜に特徴的な所見を有するものとすると,Ⅰ群に初期円錐角膜が70眼存在し,全対象の17%に相当していた。
 PKSを用いた角膜形状による円錐角膜の分類と臨床所見の進行度はよく合致し,PKSは円錐角膜の経過観察および初期円錐角膜の早期診断に有用であると考えられる。

単純ヘルペス脳炎の既往のある急性網膜壊死の1例

著者: 森由貴子 ,   浜本順次 ,   長田正夫 ,   玉井嗣彦 ,   高木茂

ページ範囲:P.1743 - P.1746

 単純ヘルペス脳炎の既往のある43歳の男性の左眼に急性網膜壊死が発症した。患者は本症発症の10か月前に単純ヘルペス脳炎に罹患し,acyclovirとγ-globulinの投与により治癒し,後遺症もなく生活していた。突然視力障害が出現し,その特徴的な眼底所見などから急性網膜壊死と診断し,acyclovir,steroid,aspirinを投与し,網膜光凝固術を行った。約2か月後には円孔を形成し,網膜剥離が出現したため,強膜輪状締結術と硝子体切除術を行った。経過中の血清および前房水の単純ヘルペスウイルス1型に対する抗体価が上昇しており,手術時に得られた眼内液の抗体率が高値を示し,病因として単純ヘルペスウイルス1型が考えられた。

カラー臨床報告

非定型的な網膜芽細胞腫の1例

著者: 大矢智博 ,   松元俊 ,   小島孚允 ,   金上貞夫

ページ範囲:P.1707 - P.1710

 コーツ病の疑いで6歳女児が紹介された。右網膜全体に静脈の拡張蛇行,出血,剥離した網膜下に黄白色の濃厚な浸出斑がみられた。網膜下に隆起性病変を思わせる所見があったが,CTおよび超音波検査では腫瘍陰影は検出されなかった。診断的治療の意味でLinac照射を施行し,病変の改善をみたため網膜芽細胞腫を疑い,眼球摘出を勧めたが両親の承諾を得られず,やむなく追加照射を行った。その後CT上,網膜下の腫瘍陰影が増大したため,眼球摘出に至り,網膜芽細胞腫と確定診断した。

Letter to editor

「先天性緑内障を合併したRubinstein-Taybi症候群」について

著者: 林みゑ子

ページ範囲:P.1698 - P.1698

 臨床眼科45巻5号掲載の山口慶子・原 敏「先天性緑内障を合併したRubinstein-Taybi症候群」(眼科図譜)を興味深く読みましたが,若干の補足が必要と思われます。まず,上記図譜では先天緑内障を合併したRubinstein-Taybi症候群の過去の報告例として海外文献のみを引用しておりますが,日本における報告例では,1983年に同じく臨床眼科37巻6号に林みゑ子・北澤克明で「先天緑内障を伴ったRubinstein-Taybi症候群の1例」を眼科図譜及び臨床報告として詳しく報告しております1)。この症例は生後3カ月半の男児で,両眼角膜混濁を主訴に眼科を受診し先天緑内障と診断されましたが,特異な顔貌や発達遅延がある事から小児科で精査したところRubinstein-Taybi症候群と判明したものです。これは日本でのRubinstein-Taybi症候群に先天緑内障を合併した報告第1例であり,山口・原の図譜に本邦からのこの文献が引用されていればより読者の参考になったのではないかと思います。また,昨年藤沢ら2)は,Rubinstein-Taybi症候群が疑われた小人症の緑内障の1例に線維柱帯切除術を行い,術中得られた隅角組織の病理報告をしている事も追加しておきます。
 1983年の林・北澤論文の考按にも述べましたが,Rubinstein-Taybi症候群自体はそれほど稀なものではないようです。

文庫の窓から

眼科学—伴野秀堅先生講義

著者: 中泉行信 ,   中泉行史 ,   斉藤仁男

ページ範囲:P.1748 - P.1749

明治4年(1871)東京大学医学部にドイツ医学が導入されてから,その講義はほとんどドイツ語で行なわれたが,明治10年前後の地方の医学校においても外国人教師の講義には通訳がつく授業もあったようである。しかし,通訳つきではいろいろ不都合なこともあって日本人教師の国語による講義が次第に行なわれるようになった。掲出の眼科書はその第1頁に
 伴野秀堅先生口述

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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