臨床報告
眼感染症分離菌に対するofloxacinの臨床的有用性の評価
著者:
田原和子1
浅利誠志1
堀川晶行1
塚本寿子1
豊川真弘1
網野信行1
宮井潔1
大橋裕一2
所属機関:
1大阪大学医学部・中央臨床検査部
2大阪大学医学部・眼科
ページ範囲:P.1667 - P.1672
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当院受診の眼感染症患者からの分離菌について,点眼用抗生剤ofloxacin (OFLX),to-bramycin(TOB),erythromycin(EM),cef-menoxime(CMX),sulbenicillin(SBPC)に対するMIC(minimum inhibitory concentration)を測定し,さらに三井らの判定基準1,2)に準じ,臨床的有用性について検討した。MSSA(methicillinsensitive Staphylococcus aureus)およびMSS(methicillin sensitive Staphylococcus sp.)では5薬剤とも低いMIC値が得られた。一方,多剤耐性菌であるMRSA(methicillin resistantStphylococcus aureus)およびMRS(methicillinresistant Staphylococcus sp.)では,OFLXにおいて最も低いMIC値が得られた。Corynebacter-ium sp.ではEMで特に低いMIC値が得られ,Propionibacterium sp.ではTOBを除く他の4薬剤で低いMIC値が得られた。以上の結果の臨床的有用性評価より,OFLXが菌種間における抗菌力の低下もみられず最も広域な抗菌スペクトルを有する有用な点眼剤と思われる。