icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻11号

1991年10月発行

特集 眼科基本診療—私はこうしている

緊急処置の実際

光,放射線による眼外傷の処置

著者: 根木昭1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院眼科

ページ範囲:P.202 - P.203

文献概要

1.紫外線による角膜障害
 波長100〜400nmの紫外線の大部分は角膜で遮断される。紫外線エネルギーの大部分は角膜上皮細胞の核酸に吸収され,DNA障害を惹起し,一部はトリプトファンにも吸収される。上皮細胞の細胞分裂は抑制され,細胞膜機能も障害されるため,細胞は脱落し上皮欠損が生じる。角膜障害の波長特性は260〜290nmにピークをもち,殺菌灯や溶接光等の人工光源から発生する。自然光に含まれる紫外線は大気により遮えぎられるため,より波長の長い300〜400nm領域のものである。従って人工光源によって起こる電気性眼炎の方がスキー等における雪眼炎よりも短い曝露時間で発症する。発症は曝露後30分から24時間で,眼痛,異物感,流涙,羞明,眼瞼痙攣を主訴とする。細隙灯検査にて,結膜充血,びまん性表層性角膜炎角膜浮腫時に虹彩炎をみる。治療は抗生物質眼軟膏の点入と,圧迫眼帯,疼痛には鎮痛剤の内服を処方する。通常24〜48時間後には,角膜上皮細胞はほぼ修復され,疼痛もなくなる。抗生物質と3%コンドロンの点眼で経過観察する。結膜充血,虹彩炎が強い時には1%のアトロピン点眼を追加し,圧迫眼帯をする。上皮再生後にも虹彩炎が続けば,ステロイド点眼を追加する。ベノキシール等の表面麻酔剤は,上皮の再生を遅らせ,感染の危険を招くので,決して処方はしてはならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら