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臨床報告
白内障術後の線維性前嚢混濁
著者: 西起史1 西佳代1
所属機関: 1西眼科病院
ページ範囲:P.1811 - P.1815
文献購入ページに移動 強度近視を含む老人性白内障患者で眼内レンズを挿入しなかった11人13眼に対して嚢間白内障手術を行い,水晶体上皮細胞は超音波吸引法で除去し,前嚢は除去せずそのまま保存した。対照眼として老人性白内障患者30人30眼では,同術式を行い後房レンズを水晶体嚢内に挿入し前嚢は保存した。眼内レンズ非挿入眼では上方の線状の前嚢切開縁が後嚢と接したところのみに水晶体上皮細胞の線維性化生による線維性混濁がみられた。眼内レンズ挿入眼では後房レンズが前嚢と密接したところにレンズの形に一致した円形の線維性混濁がみられた。この所見は眼内レンズの材質であるPMMAが水晶体上皮細胞に密接すると線維性化生を誘導し膠原線維を産生させることを示している。この線維性化生には水晶体上皮細胞自身から産生されるインターロイキン−1αがメディエータとして関与していると考えられた。眼内レンズの生体適合性の評価には,特に水晶体上皮細胞の線維性化生の誘導をパラメータとして考慮する必要がある。
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