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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻13号

1991年12月発行

文献概要

臨床報告

眼輪筋附皮弁と硬口蓋粘膜を用いた眼瞼全層再建

著者: 川本潔1 宮永嘉隆1 永富絵美1 笹本良信2 野崎幹弘2 平山峻2

所属機関: 1東京女子医大第二病院眼科 2東京女子医大形成外科

ページ範囲:P.1879 - P.1882

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 65歳女性の基底細胞癌手術後に生じた下眼瞼の全層欠損例に対し,上眼瞼からの眼輪筋附皮弁と硬口蓋粘膜を用いた眼瞼再建を行った。本手術法の特徴は以下の通りである。
 眼輪筋附皮弁について,1)皮膚と眼輪筋を同時に再建できた。2)眼輪筋が連続して再建されるので再建した下眼瞼の優れた支持性と適度な緊張性が得られた。3)眼瞼皮膚を利用するため,その外観や性状が自然に近く再建できた。4)皮弁の血行が安定しているため,手術施行上の安全性が高かった。5)採取部瘢痕が目立たなかった。
 硬口蓋粘膜について,1)再建眼瞼の支持組織として十分な強度を有し,柔軟で湿潤な粘膜を同時に再建できた。2)手術操作が簡単で,その形成もよく,眼球と角膜への密着性は優れていた。3)術後の二次的収縮変形が少なかった。4)採取が簡単で,採取後donor部に特別な処置を必要としなかった。5)採取部が口腔内のため,機能と整容上問題とならなかった。以上より本手術法は有用で簡便な眼瞼再建法であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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