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臨床報告
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増殖性糖尿病網膜症において,乳頭付近から黄斑部へかけての網膜硝子体牽引によって視力低下を来した糖尿病性黄斑偏位,13例14眼に対して硝子体手術を施行した。術前の視力は,眼前手動弁から0.4までで,急激な視力低下・変視症を特徴としていた。網膜復位は13眼(93%)に得られた。術後の視力変化は,視力表にて2段階以上の改善例は9眼(64%),1段階以内の不変例は5眼(36%),2段階以上悪化した症例はなかった。黄斑部への網膜硝子体牽引発生から8週以内に手術を施行した症例(8眼)および9週以上を経て手術を施行した症例(6眼)の視力改善はそれぞれ7眼(88%),2眼(33%)であり,発症早期に手術を施行した症例で視力改善率は有意に高かった(P<0.05)。糖尿病性黄斑偏位の発生早期における硝子体手術が有効であると考えられた。
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